予想外なDeNAのつまづき:Yahooモバゲーで問題続出:内部統制にほころびはないのか?

ヤフーとDeNAが組んで、華々しくSNSとポータルサイトの最強のコンビを目指すとの報道は記憶に新しい。しかし、ベータ版が9月21日にリリースされて以降問題が続出しているようである。

本日、現在は以下のようなメッセージがホームページで掲載されている。

2010年9月22日12時50分~9月23日21時30分の間に発生していた障害
について、再発防止措置と影響範囲の特定が完了しましたので、メンテナンスを終了しサービスを再開いたしました。今回の障害と長らくのメンテナンス作業により、お客様には、ご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。

障害の原因および再発防止について

ID登録処理時における誤ったシステム設定により、入会前のお客様に一時的に付与する仮IDがごく稀に重複してしまうことがあり、本障害が発生いたしました。対策として、この仮IDが重複することがないようにシステムの改修を行いました。また、携帯電話を用いる全ての入会経路でのID紐付け作業において認証コードの入力作業を新たに必須とするなど、認証処理に改修を加えました。」

あっさりと書いているが、よく考えてみると深刻な問題をはらんでいるリスクがある。

また、10月1日に正式にオープンというわりには、特にプレスリリースもなく、どこか妙な感じがする。

ID重複というと、個人情報漏洩である。

個人情報漏洩といえば、ものすごい勢いでマスコミで騒がれることがあるが、今回は、全くマスコミも取り上げる気配がない。DeNAはものすごい広告料をだしているから、マスコミもあまり報道できないのであろうか?Yahooはマスコミと親密だから特に報道されないのだろうか?とても不思議に思う。

企業戦略的な観点からいうと、今回の件は、戦略を変えて外部ネットワークを強化しようとしたときに起こる典型的な問題と捉えることができる。ミクシィも内製の方針を転換して、オープンアプリ化したときに、外部業者に多くの資金が流出し、会員数は伸びたものの、利益は下がったため株価が大幅に下がった。

外部ネットワークの強化を行うときには、常にリスクが顕在化しがちである。最新の注意を払ってマネジメントしなければならないが、全て防ぐのは不可能であろう。

ミクシィについては、想定内のことで、最初からそううまくはいかないというレベルの問題であるといえる。いわば経営者から見ればコントローラブルなリスクであったといえる。

しかし、DeNAの場合は、個人情報漏洩というやってはいけないミスをおこしてしまったので、問題の深刻さはミクシィよりも大きいといえる。アンコントローラブルなリスクが発生してしまったといえる。

DeNAについては、また、経営リソースの観点から見れば、技術的な脆弱性が露呈したことになる。これまで技術力の高さがDeNAの強みであると思っていたが、考えを変えなければならないのであろうか?

現在起きている問題がどの程度深刻なのかわからないが、ミスというものは氷山の一角であることが多い。

憶測でしかないが、あまりに急速な拡大の中で、技術リソースが脆弱になり、経営の目が届きにくくなり、内部統制にほころびが起きているのではないかと思える。

これまでDeNAは急速なPVの伸びに対しても大きな問題を抱えることなく、売上を伸ばしてきた。しかし、さすがに今回はうまくいかなったのだろうか?

内部統制の脆弱性が広がり、さらなる問題の拡大につながるのか、それともきちっと統制が効いて問題なく成長できるのか、今後1-2ヶ月の動きを注目していきたい。

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