警備会社のトスネット(4754)の株価が3倍になる条件

  • 東証JASDAQ 4754
  • EVAレポート
  • 2017年12月11日

成長シナリオ次第で、株主価値は201億円。バリューギャップは148億円

警備会社の株式会社トスネット(4754)を投下資本、超過利潤価値、成長価値などに分解する超過利潤(EVA法)によって分析した。業績や将来見通しなどをベースに試 算した結果、株主価値は201億円と推計することが可能である。5年程度で売上高が114億円、営業利益が10億円、10年程度で売上 高が124億円、営業利益が11億円,投下資本の売上高比が現在の38.1%で一定推移となる前提である。株主価値と時価総額のギャップ は148億円であり(時価総額の276%)、期待形成によってはアップサイドあり。

東北を中心に関東以北を地盤とする同社は、東日本大震災以降の復興特需で株価を大きく上げてきた。基幹事業である交通誘導警備、施設警備の業績は引き続き順調に推移しており、業界横断的な人件費増のトレンドにもかかわらず増収増益・最高益を達成した。警備業界は需要が依然として伸びており、警備員増が需要に追いついていない状況である。競合他社との競争が厳しくなると同業内での価格のダンピングが起こるというのはどの業界でも起こりうることだが、警備業界における需要の増加や顧客ニーズの多様化・高度化はそのようなダンピングの発生を防ぐことにつながり、業界の環境は悪くないだろう。

警備業においてもっとも重要な要素が警備員という人材であることは間違いないが、ただ闇雲に人員を採用するだけでは他社との差別化にはならない。同社のM&A戦略には同業の警備会社を買収し規模・エリアを拡大するものもあれば、2010年に買収したメーリングサービス会社や2011年に買収した電源供給事業会社などの例のように積極的なシナジーの取り込みを図るものもある。交通誘導やイベント警備といった一見単純な業務であっても、AEDの搭載や電源供給などといった複数のサービスの合わせ技で単価を上げてきたように、アイデア次第で革新的な付加価値の向上を実現できる可能性を秘めている。

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