耕作放棄地における微細藻培養技術の確立と 事業化方策の検討に係る事業化可能性調査報告

~藻から石油とオメガ3~
平成23年4月


微細藻培養技術事業化可能性調査共同事業体
(スメーブジャパン株式会社)
(株式会社循環社会研究所)
(ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社

(ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社では、上記共同事業体で藻類産業の事業化可能性の調査をおこなってきた。以下その概要である、詳細は、下記のPDFファイルをご参照いただきたい。)

  • 再生可能エネルギーの本命として藻類に対する期待が高まっている。
  • 藻類は光合成による原始酸素の発生、無機物から有機物への変成、石油や鉄鉱石資源の創生、など現在の地球環境の形成に大きく関与したことが認識されており、この藻類を活用して地球環境の再生を図ろうという試みが世界中で進んでいる。
  • 早ければ2015年には藻類からバイオ燃料生産の商業化が開始されるとの米国専門誌の観測もあり、困難な課題への果敢な挑戦が欧米を中心に展開されている。
  • このような状況で日本では以下のような問題点がある。
    • バイオ燃料生産に適した藻類の屋外での大量培養技術が確立されていない。
    • 特にコンタミネーション対策と光合成の最適化手法の研究が遅れている。
    • 藻類バイオマスからの糖質および油分抽出・分離・精製手法の確立と最終生産物の商品化と市場開拓も課題である。
    • 培養に必要な広大な用地の手当てをどうするか?
    • バイオ燃料への変換技術と商業規模でのコスト削減策など。
  • スメーブジャパン社は屋外大量培養のノウハウを世界最先端の技術を有するシームビオテック社からライセンス・インする。シームビオテック社は日本の藻類学界と30年近くにわたる交流を保っているアミ・ベンアモツ博士が創設した会社で、スメーブジャパン社はベンアモツ博士の培養・光合成ノウハウに、日本独自の伝統的な培養手法を加味してオリジナルの培養技術の確立を目指している。油分抽出・分離・精製については物理的破砕、酵素利用、電磁波・超音波の利用など今後さらに実験を行い、効率的で安価な手法を確立していく。
  • 幸いにも、スメーブジャパン社が培養対象とする微細藻ナンノクロロプシスには、厚生労働省が摂取を奨励するオメガ3不飽和脂肪酸(EPA)が大量に含まれているので、これを利用してまずは高機能サプリメントや血栓症治療薬の開発・製造を目指していく。
  • 培養に必要な土地の手当てが従来は最大の課題であったが、内陸の耕作放棄地や耕作不適地を活用する事により解決できる糸口が出てきた。
  • また太陽光発電パネルとの重層建設でスペースの有効活用なども可能性として考えられ、今後の研究テーマに加えたい。
  • ナンノクロロプシスからのバイオディーゼル生産についてはシームビオテック社が欧米の研究所・企業との提携で試作には成功している。
  • スメーブジャパン社としては先ずナンノクロロプシスを国内で大量生産し、日本企業の先進技術を活用して国産バイオ燃料の生産を目指したい。石油とのコスト競争力を高めるため、シームビオテック社は火力発電所から排出されるCO2とボイラー冷却用の海水を利用している。中国蓬莱に建設中の大型プラント(10ヘクタール)は2011年7月稼働予定であるが、コスト的には34セント/乾物kgを目指している。
  • スメーブジャパン社は、ナンノクロロプシスが8-18℃の低温域の海水で油分の蓄積が一段と進むとの知見から、石巻市牡鹿半島地区での事業化を検討している。この地区は冬でも晴天の日が多く、光合成に十分な日照が期待できる。本報告書は上記を踏まえ、耕作放棄地における藻類培養技術の確立と事業化に関しての可能性調査結果と、更なる研究課題をとりまとめたものである。

 

詳細は以下のレポートをご参照ください。

平成23年度耕作放棄地における微細藻培養技術の確立と事業化方策の検討に係る事業化可能性調査報告書.pdf(7,897.5KB)

報告書概要版.pdf(1,537.8KB)

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