藻類産業ロードマップのご紹介

当社代表が2012年に筑波大学の藻類学者と共同で作成した藻類産業ロードマップを再掲いたします。

当時の技術では不可能であった内容が現実味を帯びてきております。藻類はすごいポテンシャルを秘めているものの、最大の生産性を人類が再現することが困難であり、環境問題が重視されるたびにブームになすますが、結局成功できず頓挫する歴史を過去50年間繰り返してきました。

よって、非常に懐疑的な目で見る方が多いのが現状です。ただし、これまで今回は大きく技術的な基盤が異なります。藻類は、本サイトの下方に掲載した図を見ればお分かりのように、藻類の数、関連する技術だけでも数百になり、それらの最適な組み合わせ問題であると考えることができます。

情報数学を学んだ方ならすぐにわかりますが、数百の変数がある組み合わせ問題は、通常のアルゴリズムでは到底計算できるようなものではありません。過去も、一回の実験が数週間かかるような形では最適な条件を確立させることは極めて困難でした。

今はしかしながらAIを使い、ディープラーニングで培養条件の最適な組み合わせを解いていくことをより高速化することが可能です。現在のコンピューター技術とAIの技術と日本が持つ世界をリードする藻類研究の知見を組み合わせれば、人類にとって藻類培養の組み合わせ問題を解くことが依然よりも可能になってきたといえます。

こうした動きの中で、最先端の技術では、インドネシアのパームオイル廃液を利用した高付加価値飼料産業への貢献など、SDGsの観点からも高く評価される事業への発展へ貢献しようとしています。

あらためて、2012年にまとめた内容を再掲し、幅広い関係者に藻類産業への理解を深めていたただきたいと思います。特にAI関係の技術者の藻類産業への貢献を促していきたいと思います。

日本は藻類の生物学的な基礎研究は世界をリードしています。そのノウハウを生かして、AIと合体させて世界の環境問題の解決に貢献する日本発の産業を育成していきたと思います。

 

以下が要約と結論です。J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

藻類・植物が数億年かけて生み出してきた化石燃料がわずか数百年で枯渇

  • 産業革命以来の人類の繁栄を支えてきた豊富な化石燃料は、藻類をはじめとする植物が生み出したバイオマスが地下に埋没し、数千万年〜数億年をかけて炭化水素に変成し蓄積されたものである。その恵みを人類はわずか数百年で枯渇させる勢いで消費し、同時に地下に固定されていた炭素をCO2として大量に放出し地球温暖化と異常気象を引き起こしているとみられている。

環境に中立的なエネルギーの開発が課題

  • 21世紀において、石油資源のピークアウトはすでに現実化し、人口大国の新興国の目覚ましい経済発展を背景に、全世界が資源獲得を巡って争う資源獲得競争時代が来ることは避けられない。国内のエネルギー資源の自立が特に遅れている日本が繁栄を続けるためには、化石燃料代替エネルギーの開発は喫緊の課題である。また、持続可能な社会を築くには、大気中の炭素を固定しエネルギー資源の中に取り込いんでいく、地球規模の炭素循環に中立的なエネルギー資源の開発が重要な課題である。

環境中立なエネルギーを開発すれば日本の世界的地位が向上

  • 全エネルギー需要を国内生産で賄えなくとも、狭い土地で資源に乏しい日本国内において、炭素循環に中立的な化石燃料代替エネルギーの生産技術を確立することは、新産業育成・雇用創出に寄与するだけでなく、日本の世界的な地位向上に寄与し、国際的な資源獲得競争において取引条件交渉力(バーゲニング・パワー)の向上に大きく寄与すると考えられる。

本報告で環境に中立的な藻類エネルギー開発の課題を評価

  • 以上の視点から、オイル生産性が高く、気体、液体、固体と多様な形態の燃料やエネルギー密度が高い燃料を生産できる藻類バイオマスによる再生可能エネルギーの事業化が、世界的に注目されている。本報告書では、藻類バイオマスについて、最新の文献調査にもとづき、①産出されるエネルギー量が投入されるエネルギー量を上回る見通し、②「炭素を循環させる仕組み」の確立への寄与、③産業規模のエネルギー生産の可能性、④経済性を伴う事業化の見通しについて整理し、日本が事業化・産業化に本格的に取り組むべきか、評価を行った。

下水利用が開発成功のカギ

  • ①については、現在の技術でも産出されるエネルギー量が投入されるエネルギー量を上回る見通しが高いこと、②については、CO2排出量削減効果から、「炭素を循環させる仕組み」の確立に寄与することが確認された。また、③については、藻類の高いバイオマス生産性から、日本でも相当量の燃料生産が可能であることが確認された。④については、短期的に下水処理への応用や高付加価値副産物の生産によって達成できる可能性が確認された。

今後10年の技術ロードマップを提示

  • 以上を踏まえ、本格的産業化への技術的課題について、既存知見・技術の応用(3-5年後の実用化)、研究・開発中の新知見・技術(5年後より実証、-10年後の実用化可能性)として整理し、関連する利害関係者の共通の課題認識を築くために、多種多様な利害関係者の関わり方、産官学の間の連携の仕方、今後10年にわたる技術ロードマップのアウトラインを提示した。

農漁村における藻類バイオマスファームの事業化の経済性を評価

  • それらの論点を踏まえ、最後に農漁村における藻類バイオマスファームの事業化に向けた経済性の評価、および事業化に必要な最適な規制体系の在り方について見解を提示した。

  • 本報告書が藻類バイオマスに関心のあるすべての関係者において、より建設的な議論形成に寄与するための基盤となることで産業発展を促進する推進力となれば幸いである。

J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

 

藻類産業の技術体系の要件

J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

藻類産業の技術体系の概要

J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

藻類の分類体系の概要


J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

EVAによる藻類産業のコスト構造の試算


J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

藻類の産業化に向けた取り組みの理想像

J-Phoenix Research inc. Ⓡ[無断複製・転載厳禁]

PDFは以下をご覧ください。

概要版 全文

 

 

合わせて読まれている記事