株式会社ニチリン 5184の株価が倍になる条件

自動車用ホース販売大手の株式会社ニチリン株式会社<5184>。

ニチリンは自動車用ホースの製造・販売を行う独立系のメーカーで、特に二輪車用ホースで大きなシェアを誇っている。

神戸工場を生産拠点に置きながら、国内のみならず、東南アジアや北米・欧州といった海外にも展開し、昨年は中国に自動車用ホースの子会社を設立した。

今年は、前田社長が就任後打ち立てた、2015年から6年間の中期経営計画「NGS2020」の折り返し地点でもある。

 

海外市場好調で業績を牽引

ニチリンが11月9日に発表した17年12月期第3四半期累計(1~9月)連結決算によると、売上高434億7200万円(前年同期比17.8%増)、経常利益64億3300万円(同45.4%増)と大幅に伸びており、地域別にみれば、日本は売上高が232億8,000万円(同11.2%増)、営業利益が17億2,400万円(同62.8%増)となっている。

好調の背景としては、国内における自動車需要の回復や、中国や東南アジアにおけるニーズ拡大、東南アジアで新商品となるフューエルホースの売り上げの上積みなど海外市場による成功があげられる。

 

成長シナリオ次第で株主価値は倍に

ニチリンを投下資本、超過利潤価値、成長価値などに分解する超過利潤(EVA法)によって分析した。業績や将来見通しなどをベースに試 算した結果、株主価値は1,183億円と推計することが可能である。5年程度で売上高が633億円、営業利益が93億円、10年程度で売上高が689億円、営業利益が101億円,投下資本の売上高比が現在の46.4%で一定推移となる前提である。株主価値と時価総額の ギャップは758億円であり(時価総額の178%)、期待形成によってはアップサイドがある。

今期の税引後営業利益(NOPAT)は約57.4億円、NOPATマージン(NOPAT÷売上高)は10.1%と推計。算出される投下資本利益率(ROIC)は21.8%となる。

ROICは事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているか表す数値で、日本全上場企業の平均のROICが6%程度ということを考えると、利益率がとても高いことがわかる。

投下資本に対し投資家が要求する最低限のリターン、加重平均資本コスト(WACC)について、JPRは株価、財務戦略、 事業リスク等から5.5%と推計。1円の投下資本から創出する企業価値の割合を示すROIC/WACCは4.0倍となる。 これをベースに今期の超過利潤(EVA)を推計すると42.8億円と推計される。今期のEVAの永久価値(超過利潤価値) はEVA÷WACCで計算され、772億円と推計される。

これをベースに今期の超過利潤(EVA)を推計すると24.4億円と推計される。

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